デマンドページングへの対応
Linux上で動作するカーネル以外のプログラムは(ローダブルモジュールやユーザーアプリケーション)、初期化された状態では全てのプログラムがメモリに存在する訳ではありません。実行時に「ページフォルト」を発生させながら、カーネルが必要な部分だけをメモリに読み込む「デマンドページング」が採用されています。そのため、ICEから S/Wブレークポイントを設定したり、また変数を参照したりする時に、そのメモリがまだメモリに読み込まれていない場合には、その処理を ICE は継続できません。そこでPARTNER-Jetは、必要な時に必要な部分だけ意図的にページフォルトを発生させるプログラムをバックグラウンドで実行し、メモリ上にプログラムのデバッグに必要な部分を読み込ませる処理をしています。
MMUへの完全対応
Linuxのユーザー空間は MMUによって仮想化された多重空間になっています。この多重空間では、たとえば 0x1000番地というアドレスも複数の仮想空間に存在する事になり、そのアドレスだけでは「どのプロセスの 0x1000番地なのか?」という事が分かりません。これらの問題や前述のデマンドページングなどの、Linuxには複雑な問題があるために、従来の ICE では Linuxのデバッグは困難と言われていました。PARTNER-Jetは MMU上の多重仮想空間に対しても、PARTNER-Jetが自分でカーネルのプロセス管理・ファイル管理・メモリ管理などの構造体情報を調べて、必要なアドレス変換を行いながら正しくデバッグを行えるよう、デバッグするユーザーのバックグラウンドで処理を行っています。